Mのページ

【ハイロ代表マエダシゲル】による映画エッセイ

 

というわけで唐突にはじまります、『Mのページ』

ハイロ代表のマエダ・シゲルが観た映画の感想や批評のコーナーです。

タイトルはタケヒロ雄太さんが名付け親です。

『M』っていろいろイメージを連想させるアルファベットです。昭和元年(1925)から平成元年(1988)に日本で公開された映画は『新生意気坐』に掲載、その他の映画のことを書いてゆきます。どうしてゆくかは更新しながら考えて行くことにします。よろしくお願いいたします。

 


2018年1月7日更新

 

『アトミック・ブロンド』(2017年)   

東宝シネマズ南大沢2017 10/22  11/9 

監督/デビット・リーチ・撮影/ジョナサン・セラ

編集/エリザベート・ロナルズ 115分 米

出演/シャリーズ・セロン ジェームズ・マカヴォイ ジョン

   グッドマン ソフィア・ブテラ エディー・マーサン他

 

アクション映画。小津映画の画面内と編集による映画の運動のアクションでなく、殺陣のアクション。

 

敢えてこの時代に殺陣に拘る、その姿勢、志が嬉しい。シャリーズ・セロン40歳もそこに惚れてか製作まで買ってでた。その心意気。監督曰く『ガン・フー』。ガンアクションとカンフーを下敷きに米風味にアレンジした殺陣が見どころ。いやあ~殺す殺す。『キック・アス』のヒットガールちゃんの時もビックリしたけど。『ジョン・ウィック2』では複数の殺し屋との闘い、それをカットバックで見せるシークエンスがあって、おのおのの持っていたであろう迫力がそがれてガッカリしたけれど、今回の作品では直球勝負。MI6の女エージェントを演じるシャリーズ・セロンが本気で体を張って実にいい。プラチナブロンドの髪を振り乱し満身創痍の傷や痣を隠さないヌードショットが美しい。背中から狙う肩甲骨のバストショット。もはやアクションはモリモリ筋肉にあらず。肩甲骨の柔軟性にあり。時代設定となるベルリンの壁崩壊が迫った1989年の秋。同時代、スタローンやシュワルツェネッガーの台頭の系譜を思うと肩甲骨の主張は挑戦的だ。物語の構成はシンプル。事情聴取と回想のカットバック。焼き鳥で例えると『ネギ間』の構造かな。その場面転換にOLとワイプを使い趣向を凝らしてテンポをつける。回想のベルリンのくだりも、ウイスキーからウヲッカ、冷たい河から氷風呂と類似系のマッチカットが目立つ。シャリーズ・セロンのアオリ多様のカットはMへ誘うためのスブリミナル効果。そしてまさかのソフィア・ブテラ、『キングスマン』の両足サーベルお姉ちゃん、『マミー/呪われた砂漠の王女』の女ミイラちゃんと、『修羅雪姫かよ!』とツッコミたくなるようなレズシーン。「あたいホントはこの仕事怖いんだ」なんて本音言われると隠し合いだまし合いの気の張った世界で思わずキュンときてしまう、説明なしの感情移入、うまい。しかし何と言ってもこの映画の最大の見どころは、救出中のスパイグラスが撃たれて安全確保のために敵の潜むアパートに入って乱闘の上、二台目の敵の車を振り切るまでの10分弱に及ぶワンシーンワンカットのガンフーアクション、カーアクション。(そういえば、全編140分ワンカット、『ヴィクトリア』という映画もあった。こちらも舞台がベルリンでした。)そしてアクションと同時進行するワンカットの撮影現場で、どうやっているのだろう、その刹那の傷や痣の特殊メーキャップの技に唸ってしまう。役者たち、まずジェームズ・マカヴォイのノリがいい。ジョン・グッドマンが老獪な役を余裕たっぷり演じている。上司役のトビー・ジョーンズの顔がいい。最後『ベルリンの壁を崩壊に導いたのは私よ』と本当?嘯く?その荒唐無稽さ。殺伐としている感はぬぐいされないけれど、カタルシスです。余計なことだけど、ベルリンの駒落としの風景カット、クラブに入る時の駒落としのカットは無くても十分スタイリッシュ。

(マエダシゲル)